MicrosoftはWindows 10 Insider Preview ビルド10565でアクティベーション(ライセンス認証)ロジックを変更している。同社のGabriel Aul氏は「Windows 7/8/8.1のプロダクトキーを使用して、Windows 10のアクティベーションを可能にした」と公式ブログで説明していた。

だが、肝心のISOファイルをリリースしなければ、アクティベーションの改善も意味をなさないため、前回の記事では大きく取り上げなかったが、2015年10月16日未明にダウンロードサイトを更新し、Windows 10 Insider Previewの各国語版ISOファイル公開に至っている。今回はWindows 10 Insider Preview ビルド10565を使って、実際のアクティベーションを行ってみた。

Windows 7/8.xのプロダクトキーによるアクティベーションをサポートしたWindows 10 Insider Preview ビルド10565

Windows 7のプロダクトキーでアクティベーションを実行

MicrosoftのWindows 10 Insider Preview向けダウンロードサイトにアクセスすると、以前と同じく日本語を始めとする23言語のISOファイルが用意されている。今回の変更は、その内容をビルド10240からビルド10565へ更新した点だ。

Windows 10 Insider Previewのダウンロードページ。すべてビルド10565に更新された

新規インストールを試してみると、以前とは異なる部分を散見できる。その1つが「Windowsのライセンス認証」だ。下図はビルド10240とビルド10565の同ダイアログを並べたものだが、ご覧のとおりプロダクトキーやデジタルコピー版購入時の対応方法を詳しく説明している。

Windows 10 ビルド10240の「Windowsのライセンス認証」ダイアログ

こちらがビルド10565の同ダイアログ。詳しい説明が加わっている

インストール手順やセットアップなどは以前と同じため割愛するが、ビルド10240と異なるのがMicrosoftアカウントではなくローカルアカウントで新規サインインしても、始めからCortanaが有効になる点だ。もちろんMicrosoftアカウントによるサインインが必要になるが、今後CB(Current Branch)に提供するTH(Threshold)2も同様の仕組みに切り替わるのだろう。

ビルド10565の新規インストール時からCortanaが有効になっている。もちろん使用するにはMicrosoftアカウントが必要だ

従来どおりアクティベーションは「設定」の「更新とセキュリティ\ライセンス認証」から実行するが、使用中のデバイスと合致するDigital entitlement(デジタル登録情報)もしくはプロダクトキーが存在しないため、エラーメッセージが現れる。アクティベーションをうながす仕組みを導入するのは至極当然だが、エラーメッセージはPC初心者の誤解を生むのではないだろうか。

プロダクトキーを入力せずにインストールしたため、ライセンス認証をうながされる

「ライセンス認証」を開くとエラーメッセージが現れるが、プロセスを踏まえると少々違和感を覚える

今回はWindows 7 Ultimate用プロダクトキーが余っていたので、そちらを入力してみたが、Aul氏の説明どおり難なくアクティベーションが完了した。特にWindows 10用プロダクトキーに対する注意やメッセージなどは現れない。アクティベーション方式も、Windows 7/8.1からWindows 10へアップグレードしたデバイスと判断されたのか、デジタル登録情報となっていた。

<プロダクトキーを変更します>ボタンをクリックすると現れるウィンドウのテキストボックスに、Windows 7 Ultimate用プロダクトキーを入力すると、すぐにアクティベーション処理が始まる

アクティベーションの操作確認を示すウィンドウに切り替わったら、<次へ>ボタンをクリックする

これでアクティベーションが完了し、正規のWindows 10として認められる

アクティベーション完了後の「ライセンス認証」。アクティベーション方式はデジタル登録情報だった

これらの仕組みは前回の記事でも述べたように、Webページで詳しく解説している。以前は英語のみだったものの既に日本化されているため、詳しい説明は割愛するが、Windows 10 Insider Preview ビルド10565は新しいアクティベーションとなるデジタル登録情報が初めて動作するビルドとなった。

今回のアクティベーションロジックの変更で注意すべきは、Windows 10無償アップグレード期間終了後の話だ。Microsoftは自社のコミュニティサイトでFAQを公開している。例えば2016年7月29日以降、Windows 7/8.xのプロダクトキーによるアクティベーションが可能かという質問に対しては、「No」と述べつつも「期間中にWindows 10へアップグレードした場合、デバイスが壊れるまで使い続けることができる」そうだ。

また、サポートするプロダクトキーの種類として、「OEM版Windows 7/8.x」「リテール版Windows 7/8.x」「Amazonなどのオンライン版Windows 7/8.x」「Windows Anytime UpgradeやGenuine Windows Wizardで購入したプロダクトキー」「Windows 8.1 Pro Pack用プロダクトキー(Windows 10 Proとしてアクティベーション可能)」をサポートする。一方で汎用ボリュームライセンスキーやマルチライセンス認証キーなどのボリュームライセンスプロダクトキー、Windows 7/8.x Enterpriseエディションのプロダクトキーは未サポートだ。

このようにMicrosoftや日本マイクロソフトがアナウンスしていた「Windows 10へのアップグレードは1年間無料」という姿勢は何ら変わっていない。Windows 7/8.xのプロダクトキーを余らしているユーザーは、来年夏までにアクティベーションコードとして利用した方がよさそうだ。

阿久津良和(Cactus)

前回の記事はこちら
・Windows 10 Insider Previewを試す(第32回) - UI/UXの改善が顕著な「ビルド10565」登場
http://news.mynavi.jp/articles/2015/10/13/windows10/index.html
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